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マスターズ覇者の松山英樹とUSオープンを制した笹生優花への海外報道から考える英語を話せる事の意味

(この記事は2023年6月23日に更新しました)

4月にマスターズの覇者となった松山英樹選手、6月に女子USオープンを制した笹生優花選手、彼らの勝利のニュースは日本では大きく報道されたので、普段はゴルフには興味のない人もどこかで彼らの名前は聞いたことがあるでしょう。

では、彼らの活躍は日本以外ではどのように報道されているのでしょうか?



みなさん、こんにちは!
ステューデイアス英語学院のAlexです。
豊富な海外経験を通じて身に付けた生の英語を基に、英語学習者の皆さんにとって有益な情報を提供しています。
中東の職場について、以前記事にしていますので、ご興味のある方はどうぞ!

日本のメディアは海外で日本人が大きな成果をあげると、世界中がこのニュースに注目しているような(ある意味)大げさな報道をする傾向がありますね。

例えば、『笹生選手が英語でインタビューに答えたことにアメリカ人記者も感動』と言ったものです。


個人的に真剣に英語を勉強している皆さんにとっては、折に触れ海外のニュース媒体をチェックし、 ”reality check = リアリティ・チェック = 現実性のチェック” や “critical thinking = クリティカル・シンキング = 批判的・論理的思考” 養う習慣をつけておく事が大切だと思います。


日本に居ながらにして、海外から見たら日本・日本人はどんなふうに見えているのか
海外で話題になった日本の姿を理解しておく

このようなことは、いざ英語を使ってビジネスをするようになったり海外勤務を拝命した際などに、かけがえのない『強み』となります。


英語の記事を紹介する前に、グーグルサーチを使ってお二人の名前を日本語と英語で検索してどれくらいのヒットがあるか比べてみました。



松山英樹選手は日本語でのヒット数は1,120万(!)、笹生優花選手の場合は37万ヒットでした。

一方、英語でHideki Matsuyamaと入力した場合のヒットは182万ヒット、対してYuka Saso449万ヒット。


笹生選手は英語での記事が日本語のものに比べて圧倒的に多く、マツヤマ選手の場合は全く逆になっていると言うことが分かりました。

ふたりのキャリアには大きな年数の差があるので、総数を比べることにはまったく意味はありませんが、笹生選手がキャリアが短いにもかかわらず、既に英語媒体でマツヤマ選手の何倍も取り上げられている、と言うのは興味深い事実です。

松山選手は海外でどんなふうに紹介されているのかな

松山選手がマスターズを制したことは、海外でも広く報道されました。


通常のニュースメディアだけでなく、英語学習者向けのNews in Levels等でもいくつかのレベルに分けて記事を紹介したくらいですから、英語ネイティブ以外のゴルファーがマスターズを制すると言うことがいかに稀な出来事であるかを察することができます。


英語学習者向けに話題になった世界のニュースを紹介しているNews in Levels では、松山選手を以下のように紹介しています。(https://www.newsinlevels.com/products/japanese-golf-champion-level-3/

”In March 2011, a devastating earthquake and tsunami in Japan killed thousands of people. and it destroyed much of Hideki Matsuyama´s home.
A month later, Matsuyama almost turned down his first chance to play the Masters for golf; however, he decided to play only because he thought it would lift spirits. A decade later, he lifted his country again, becoming Japan´s first-ever professional golfer to win a men´s major golf championship – the 2021 Masters Tournament. Matsuyama´s one-shot victory over Will Zalatoris at Augusta National, US, made him the Masters champion, and it was the biggest moment for the sport in his golf-crazed homeland.”

https://www.newsinlevels.com/products/japanese-golf-champion-level-3/

和訳
2011年3月、日本を襲った地震と津波は何千人もの人の命を奪いましたが、松山選手の家も壊滅的な被害を受けました。
その一月後、彼にはマスターズでプレイするチャンスが訪れました。当初はそれを辞退するつもりでいましたが、彼が出場することで日本の雰囲気を明るくすることができるかもしれないと考えて参加することにしました。その10年後のメジャーの大会で、Will Zalatoris に対する松山の一打差の勝利は、彼をマスターズのチャンピオンにしただけでなく、熱狂的なゴルフファンが多い日本で、あらたなスポーツの歴史を打ち立てたのです。



この文章で、松山選手が東北大震災で被害を受けた地域にルーツを持つこと、マスターズに勝利を納めるまでに10年の歳月を要したこと、日本には熱狂的なゴルフファンが多いことが分かります。

では、笹生選手は海外でどのように紹介されているのでしょうか?

笹生選手の選手に関しては、海外のメディアはほぼPhilippine(フィリピン)国籍とのみ紹介しています。
(フィリピン国籍で大会に登録しているので、当然と言えば当然ですが。)


英語の記事でも彼女の事をFilipino Japanese(フィリピン系日本人)と紹介しているのは日本のメディアの英語版の記事ばかりで、海外のメディアが注目しているのは彼女が19歳という年齢でUSオープンを制した、と言う事実のみです。


彼女がまだキャリアが浅いことから

Get to know Yuka Saso, the Philippines’ first major golf tournament winner
メジャーを制したフィリピンの笹生優花ってどんな選手?

というネット記事は出ていたりしますが、その見出しに “Japanese” の一言は入っていません。。。。


記事の中でも彼女の父親が日本人で彼がゴルフ好きだったことが彼女がゴルフを始めたきっかけとなっている、という一文はありますが、日本が出てくるのはそのセンテンスのみです。


海外の報道では、彼女の国籍がどこかと言うことよりも、10代でUSオープンを制したと言うことが何倍も重要なファクターとして報道されてます。

このことは、英語を真剣に学び、英語をビジネスで活用したいと思っている皆さんは必ず覚えておくべきポイントだと思います。


日本では重要なことだと報道されていることが、必ずしも世界共通の認識・理解ではない、と言うことです。



英語がネイティブの国々は、アメリカ・カナダ・オーストラリアなどの例をとっても、元々移民によって開かれた国で、現在でも毎年相当数の移民を受け入れています。

ですから、いちいち元々の人種が何かと言うことは気に留めません。
その国の国籍を取得したら自国人として扱います。

そうでなければ、原住民の人たち以外はすべて「アメリカ国籍だけれど父親はキューバ出身、母親は中国系アメリカ人」などと説明することになり、これは無駄であると同時に国の分断を加速することにもなりかねません。

松山選手が英語を話さないことは、海外でも有名?

彼がマスターズ優勝のインタビューの場でも日本語で返答したことで、海外のスレッドでも『2014年以降アメリカツアーを主戦場にしている松山選手は、果たして英語を話せるのか?』という点に注目したものが散見されます。


日本のメディアでは、

(1)彼の奥さんが帰国子女である
(2)優秀な通訳兼マネージャ―がいる

事などを理由に『英語を勉強する時間があったらゴルフを練習したい』と言った(らしい)松山選手のスタイルを称賛するものが多く見られます。


では、海外のメディアでは、彼が(少なくとも公式の場では)英語を話さないことはどのように理解されているのでしょうか?



2019年10月にPGATour.comに掲載された記事(https://www.pgatour.com/news/2019/10/22/presidents-cup-insider-hideki-matsuyama-unlocking-potential.html)では、プレジデントカップでのインターナショナルチームで、松山選手だけが英語が流暢ではない、と言う点を取り上げています。



この記事の中で、松山選手自身は通訳を介し、

”I am trying, though. I am doing my best to keep learning English and to communicate well.
頑張ってますよ。できるだけ英語の勉強を続けて、うまくコミュニケーションが取れるようにしようとしてます。”

と発言しています。



この記事の中で記者は、

”Golf, you may argue, is a universal language, but when it comes to team events – it helps to speak the same languageゴルフ自体は、議論の余地があるにしてもユニバーサルランゲージ≪=つまりどこの国でも同じルールに基づいてプレイされる≫である、しかしチームイベントにおいては同じ言葉を話すことは意義があるだろう”

と議論を続けます。そして


“(Matsuyama) will be one of the International Team’s vital cogs for many more years.
(松山選手)は今後何年もの間(プレジデントカップにおける)インターナショナル・チームの中核であり続けるだろう)”

と彼の実力を評価した上で、


But despite having skills that few can match, his potential in the team competition has not been fully unlocked.
他の選手には簡単に真似できない高いスキルがあるにもかかわらず、チームでの競技においては彼のポテンシャルが花開いていない。”


と指摘し、英語を話さないことによるコミュニケーション・ギャップの存在を示唆しています。


これに関しては、松山選手自身も

“I don’t know if it’s been a big problem in the past, but I do know it would be a big help to be able to communicate better
今までそれ≪=英語≫が大きな問題になっていたのかはわかりませんが、もっとコミュニケーションを上手く取れれば助けになることは理解しています”


と語っています。



PGAツアーをフォローしているウェブサイトで ”Hideki Matsuyama: There’s A Reason He Doesn’t Speak English” と言う記事を見つけました。


この記事では、

”Hideki doesn’t speak English so he’s not in great demand for interviews in America.
松山選手は英語を話さないので、アメリカではインタビューの依頼があまりない”

と述べています。


そのおかげで、プライベートな情報がメディアにもれず、ゴルフに専念できている、という多少皮肉を交えた記事です。



松山選手が英語を話さないということが、冒頭の英語でのグーグルサーチのヒット数の少なさに反映されているのですね。

さいごに

今回はずいぶんと長い記事になってしまいましたが、英語を頑張る皆さんに覚えておいていただきたい言葉は、PGATour.comの記者が語る ”Golf, you may argue, is a universal language, but when it comes to team events – it helps to speak the same language” です。


ゴルフだけでなく英語も、世界中で共通の『文法』というルールに基づいて皆が利用できるユニバーサルランゲージです。


ビジネスの場面でもプライベートでも、英語を使えば世界中の色々な人たちとコミュニケーションを図ることができ、日本語だけでは得ることができない様々な経験をすることが出来るのです。

英語ができないばっかりに、損をするようなことは避けたいものですね。

最後までお読みくださり、本当にありがとうございました!
あなたの英語学習の成功を応援しています!

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