英語解説
2021年9月10日
ネイテイブも不思議に思う?日本人の英語力について考えてみました
(この記事は2023年6月13日に更新しました。)
こんにちは!
ステューディアス英語学院代表のHankです!
働きながら英語を身につける社会人を支援する英語講師です。
英検1級、TOEIC960
スイスに本部を持つ、国際語学教育機関「EF(エデュケーション・ファースト)」は、毎年英語を母語としない国での英語普及度を発表しています。
2019年:53位
2020年:55位
https://en.wikipedia.org/wiki/EF_English_Proficiency_Index
実は、「日本人が英語を話さない若しくは話せない」と言うのは、世界でもよく知られているようです。
英語話者にとっては、何故先進国の日本で英語を話せない人が多いのか、不思議に感じているのでしょう。
グーグルサーチでは、1億8,000万近くのヒットがあり、『なぜ日本人は英語が話せないのか?』という考察がされているほどです。
今回は、「日本人が英語を話さない若しくは話せない」に関して、日本語・英語両方のサイトからその理由を検証してみたいと思います。
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日本人の英語力の変遷
EFエデュケーション・ファーストのEPI(英語習熟度指数)によると、日本人の英語力は2015年までは “Moderate = 中程度” でしたが、2016年以降は “Low = 低い” に転じています。
一方 “Low” は、英語圏に観光旅行に行っても困らない、ネイティブの同僚と世間話ができる、同僚から届く簡単なEメールであれば理解できる、というレベルです。(https://www.ef-australia.com.au/epi/about-epi/proficiency-bands/)
Moderate
自分の専門分野での会議に参加し、英語の歌の歌詞を理解でき、自分の得意分野の事であれば専門的なEメールを作成することができるレベル
Low
英語圏に観光旅行に行っても困らない、ネイティブの同僚と世間話ができる、同僚から届く簡単なEメールであれば理解できるレベル
個人的には、”Low” レベルでも結構ハードルが高く設定されているなぁ、と感じました。
英語を毎日頑張っている皆さんは、今現在自分はどのレベルに当てはまると思いますか?
日本人は英語なんて必要ない、という根強い議論
「どうして日本人は英語を話さない・話せないのか」というネット上での議論で、よく目にする議論があります。
例えば
- 日本語と英語は対極に位置する言語体系を持っているから、取得するのが難しい
- 日本は人口も多いし経済力も強いから、海外の情報もほとんど日本語(翻訳して)入手することができる
- 日本にいる限り外国人と話す機会は殆どない
- 自動翻訳で十分意思の疎通ができる
- 間違えたら嫌だから話したくない」「日本に来るガイジンは先ず日本語を勉強してから来い!」
などなど、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
果たしてこれらは、正しいのでしょうか?
ちょっと検証してみましょう!
英語話者にとって日本語は最も習得が難しい言葉、逆も真なり
アメリカ国務省の外務職員局(FSI)が作成した英語話者にとって習得が難しい外国語上位9は以下の国々です。
- 日本語
- アラビア語
- 北京語・広東語
- 韓国語
- ハンガリー語
- ベトナム語
- コサ語(アフリカ南部で話されている言葉)
- アイスランド語
前述したEPIのリストと上記の難易度を比較してみましょう。
FSIによる英語習得難易度Hardの国々 | EFによる英語力ランキング |
---|---|
日本語 | 55位 |
アラビア語 | 日本以下(55位以下) |
北京語・広東語 | 38位(中国として) |
韓国語 | 32位 |
ハンガリー語 | 14位 |
ベトナム語 | 65位 |
コサ語 | – |
アイスランド語 | – |
習得が困難とされる言語の国でも、英語力ランキングでは上位にランクインしています。
例えば、ハンガリーなどです。
つまり、習得が難しい言語が母国語でも、必要であれば英語は取得可能という説も成り立ちますね。
アジアの韓国や中国の英語力が日本より高くなっています。
特に中国は、2018年までは『低い英語力』であったのが、2019年以降『中程度』に躍進しています。
韓国も記録が表示されている2011年以降、常に『中程度』の英語力をキープしています。
海外の情報もほとんど日本語で入手することができる
日本で暮らしている限りは殆ど他の言語を話さなくても支障なく暮らせています。
多言語の情報も誰かが翻訳してくれて、日本のニュースに登場します。
しかし、多言語の情報を日本語に翻訳したものを入手するためには、どうしても時間的なラグが存在します。
私自身、CNNやBBCで見たニュースの内容が2-3日後に日本のヤフーニュースに登場する、という経験を良くします。
アメリカやヨーロッパなど日本と深い関係を持つ国や地域のニュースは比較的早く日本語になりますが、それ以外のものはどうしても時間がかかってしまうようです。
日本語を話す人の数は1億2,700万人程度、現在のところ世界9位の位置を占めています。
経済規模も現在世界第3位。
しかし、内閣府の試算では今後大幅な人口減少が予想されています。
2030年:1億1,662万人
2048年:9,913万人
2060年:8,674万人
2110年:4200万人
このまま少子高齢化が続けば、ますます海外からの労働力に頼る必要があるかも知れません。
人口減少とともに、経済規模も縮小していきます。
2050年のGDPランキング予想では、日本はメキシコに次ぐ第7位です。
そんな日本に来る外国人労働者は日本語に壁を感じて敬遠するかも知れません。
英語ネイティブが考える日本人が英語を話さない理由
「日本人は英語が苦手だ」と言うことは、英語ネイティブたちも興味を持って取り上げています。
日本に来た英語ネイティブが全員不思議に思っているのではないか、と思ってしまうくらいいろいろな検索結果がでてきます。
一部の検索結果を拾い読みすると、以下のような意見を多く見かけました。
- 日本の英語教育は、細かいところに目を向けすぎて大本がお留守になってる
- 日本人は間違えるのを怖がり過ぎてる
- カタカナ語や和製英語が英語学習者を混乱させてる
- 日本で暮らす限りは日本語だけで大丈夫
- コミュニケーションの手段ではなく試験の1教科としてとらえられている
更には、「日本人で英語が出来過ぎてしまうと仲間内で浮いてしまうので、あえて英語が話せないふりをしている帰国子女」が紹介されていました。
日本で英語が流ちょうだと言うことは、まだまだ「珍しい」ことだと理解されているのですね。
また、日本人は『純日本人である(見た目・言語・文化を含めて)』と言うことに絶大な価値を見出している、という指摘もありました。その為、少しでも『純日本人』の規範から外れるものには拒否反応が出る、と言うものです。
さいごに
いかがでしたか?
英語を真剣に学んでいる皆さんは、英語でコミュニケーションを図ることの重要性を理解していますね。
楽天やソフトバンク・ファーストリテイリングのように、日本企業でありながら英語をどんどん取り入れる企業は、今後どんどん増えてくることでしょう。
いつまでも日本国内だけを相手にしていては、近い将来の市場の急激な縮小による競争力の低下が避けられないからです。
わざわざ海外で働かなくても、日本国内で英語で仕事をこなす日はすぐそこまで来ています。
使える英語を身につけられるように、一緒に頑張りましょう!
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