（この記事は2023年6月14日に更新しました）

最近政治的な駆け引きも相まって、”cognitive” という単語を多く見かけるようになりました。

例えば、2021年5月12日版のSky Newsは、
「バイデン大統領は、彼の認知能力の「衰退状態が酷い」ことを考慮して、大統領の職を辞めるべきである」
という記事を出しました。

その後6月17日に、2000年から2018年までホワイトハウスの医師を務めていたRonny Jackson氏が、
「トランプ大統領も在任中に”cognitive test = 認知力検査” を受けたのだから、バイデン大統領も同じテストを受けるべきだ」
と主張しました。

同時に、共和党の下院議員からも同様の要求が出されています。
https://www.washingtonpost.com/nation/2021/06/18/ronny-jackson-biden-cognitive-test/

ということで、今回は、この”cognitive” を取り上げ、その意味や使われ方を解説していきたいと思います。

cognitive の意味

元々は中世のラテン語 cognitīvus を語源としています。
これは、『知っている』を意味するラテン語の cognit- に形容詞を形作る接尾語 -īvus が合わさってできたものです。


英語の ”cognitive” が最初に使われたのは、Merriam Webster英語辞典によれば1586年に遡ります。
登場以降ずっと使用頻度が低い時代が続きましたが、20世紀半ばから急に使用頻度が高まって来た言葉です。


ここではcogniteiveの意味を英和辞典と英英辞典から引用してみます。

英辞郎

英辞郎On the Webには次にように書かれています。

続いて英英辞典を見てみましょう。

Cambridge英語辞典

Cambridge英語辞典は、”cognitive” を心理学の分野の形容詞で次のように定義しています。

Merriam Webster英語辞典

Merriam Webster英語辞典では、以下のように定義しています。

類語

類似の意味を持つ言葉としては、

• aware
  
  
• awareness
  
  
• perceive
  
  
• realization
  
  
• recognize

などがあります。

”Cognitive” は様々な「認知」に結びついています。

「認知」というと、「認知症」が頭に浮かんでしまいますが、「空間認知」「色認知」「非認知能力」まで、本当に色々な場面で使われる言葉です。



ネイティブの友人は、何かを認知する又はその能力を示す言葉にすぎず、ニュートラルからポジティブなニュアンスの言葉だと言っています。

cognitiveを使った例文

それでは例文を見てみましょう！

ちょっと一息　ー　メディアの論調は様々

日本でもメディアの中には政府寄りのものもあれば、政府には批判的なものもあります。

これはアメリカでも同様、と言うより、アメリカではもっとはっきりと自社の支持政党を持ち上げ反対政党をこき下ろす姿勢を見せています。

今回、「大統領はさっさと辞めろ」と言わんばかりの記事を掲載したSky Newsは、1988年にオーストラリア出身のメディア・タイクーン、ルパート・マードック氏が創設したニュースチャンネルです。

トランプ前大統領が「最も信頼できるメディアだ」と評した（らしい）事から分かるように、バリバリの共和党支持。
6月20日付けの記事でも「バイデン大統領は認知能力が落ちていてまともにコミュニケーションもとれない」などと辛辣な記事を繰り返し発表しています。


一方、ワシントンポストは前回の大統領選挙では、トランプ前大統領を「史上最悪の大統領」と評し明確なバイデン候補（当時）支持を打ち出していました。

”Ronny Jackson said Trump aced a cognitive test. Now he’s demanding Biden take one, citing ‘mental impairment’
和訳
ロドニージャクソンは、トランプが認知能力検査に楽々合格点を取ったのだから、バイデン大統領も同じ検査を受けるべきだ ー「精神障害」を引用

と言う記事の中では、バイデン大統領に対し認知能力検査を受けるようにと言う要求があったことは伝えています。


人は、自分と同じ意見の他人を「あの人は良い人だ」と考えたり「やっぱり、それが正解なんだ」と考えてしまいがちです。


国民の政治的分断なども、これが根っこにあるようです。

Cognitive Core Skillとは？

Cognitive skill = 認知スキル とは、脳が考え・聞き・学び・理解し・（情報を）正当化/理由付けし・細心の注意を払うために利用する本質的な資質です。


”Cognitive functions” “cognitive abilities” “cognitive capacities” とも言われます。https://en.wikipedia.org/wiki/Cognitive_skill



この認知スキルが、新たな情報を収集し自分の内部のデータベースに保存して、必要に応じて仕事の場や日常生活での問題・課題解決に役立てているのです。


このスキルの内どれか一つでも健全に機能していないと、どんなに有益な情報が手に入ったとしても、上手く理解したり活用したりすることに差しさわりが出る、と指摘されています。


日本でも仕事探しのサポート企業として知られているindeedが、就職転職を準備している人たちのために “Cognitive Skills: What They Are and How to Improve Them” をウェブサイトに掲載しました。


この記事では、”cognitive skill” は面接だけでなく履歴書を準備する際にも大切であると指摘し、このスキルにはどんなものがあるのか、このスキルを磨くにはどんなことをするとよいのかを解説しています。


”Cognitive skill”として、このサイトでは9個を挙げています。

1．Sustained attention = 一つの事に長時間集中する能力

2．Selective attention = 色々邪魔が入っても一つの事に集中する能力

3．Divided attention = マルチタスキング

4．Long-term memory = 長期的な記憶

5．Working memory = 作業・作動記憶、短期的な記憶

6．Logic and reasoning = 論理と理由付け

7．Auditory processing = 聴覚を用いた情報処理

8．Visual processing = 視覚を用いた情報処理

9．Processing speed = 情報を処理しタスクを行うスピード

https://www.indeed.com/career-advice/career-development/cognitive-skills-how-to-improve-them

そして、これらのスキルを磨くためには、以下を心がけることが大切だと記事では紹介しています。

Reduce stress 
ストレスを減らすことで、より長時間集中することができるようになります。
仕事中でも時には、席を離れ窓から外を眺めるだけでも気分転換になります。

Care for your body
健康な身体を維持することで、近くスキルを鋭敏に保てます。
バランスの取れた食事と最低7時間の睡眠を推奨しています。


Practice focusing
意識して集中するようにする。これを習慣づけると段々と周囲の雑音に惑わされなくなってきます。


Exercise your brain 
本を読んだり、数独に取り組んだり、チェスや将棋・碁などのボードゲームをして脳の活性化を図る。勿論日記やブログなども有効です。

https://www.indeed.com/career-advice/career-development/cognitive-skills-how-to-improve-them

さいごに

今日は少し横道に逸れながら、coginitiveという単語を解説しました。



日本の職場で大切な「空気を読む」のも、ある意味”cognitive skills” に当てはまりそうですね。


日本で就職や転職をする際には、定型の履歴書を利用することが多いので応募する企業によって内容が変わることはあまりありません。

しかし、外資系や海外企業への就職活動ではいかに魅力的な履歴書を作成できるかが、就職面接に駒を進める強力な武器になります。


「外資に転職するにはまず英語を勉強しなくちゃ。。。」
と頑張っている方は、同時に目指す企業の人事担当者の目に留まる履歴書づくりが必要になりそうですね。


とは言え、外資に入ると（外資と言わずに日本企業でも）その会社の文化に慣れること、人間関係の構築など、気が休みませんので、その前に十分英語には慣れている方が良いと思います。

最後までお読み頂きありがとうございました。
皆さんの英語学習を応援してます！

頑張ろう！